特許Q&A
特許について、企業からのご質問の多い幾つかの重要事項をQ&A形式で解説します。

Q1 特許取得のビジネス上のメリットとデメリットは何か。

Q2 特許出願する価値のある技術とはどのようなものか。

Q3 特許出願を特許事務所に依頼する際、どのような資料を用意すればよいか。

Q4 コンピュータソフトウェアに特許が取れるのか。

Q5 特許出願する価値のあるソフトウェアとはどのようなものか。

Q6 ソフトウェアの特許出願特有の注意点は何か。

Q7 ソフトウェアの特許出願を特許事務所に依頼する際、どのような資料を用意すればよいか。

Q1 特許取得のビジネス上のメリットとデメリットは何か。
A1 メリットは、(1)市場での優位性が拡大できること(2)自由な企業活動が確保できること(3)特許収益が獲得できることです。デメリットは、多大な費用と手間がかかることです。

(1)市場での優位性の拡大
 優れた技術について特許をもっていれば、その技術を自社だけが最長15年間にわたり独占できますから、その点で他社よりも市場で優位に立てます。

(2)自由な企業活動の確保
 多くの優れた技術について多数の特許を持っていれば、もし、他社から他社の特許に基づく攻撃を受けても、自社の優れた特許が盾となって防御してくれますから、自社の自由な企業活動が保証されます。

(3)特許収益の獲得
 自社の優れた特許を他社に使用させて他社からロイヤリティ−(使用料)の支払いを受けることにより収益を得ることができます。

 このように、特許のメリットは大きいのですが、反面、特許を取得し維持するためには多大な経費がかかります。経費の方がメリットよりも大きい特許は、それを持っている価値はありません。
 企業にとっての特許とは、国家にとっての軍事力のようなものです。国家は、その規模、経済力、国際環境、地域実体に適合した量と質の軍事力を維持する必要があります。同様に企業も、その規模、経済力、競争環境、市場実体に適合した量と質の特許を取得し維持することが重要です。

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Q2 特許出願する価値のある技術とはどのようなものか。
A2 (1)A1で述べたビジネスメリットが期待できること(2)法規定に照らして特許取得の可能性があること、の2つの条件を満たす技術です。

(1)ビジネスメリットが期待できる技術
 代表例を挙げれば、@製品の性能、外観、使い勝手、値段などがユーザにとり一層望ましいものになり売上増加が期待できる技術、A製品を造るのに不可欠な技術や製造コストを下げる技術などのように、他社も使用したいと思うであろう技術、B今までに製品化されてなくて、製品化すればきっと売れるであろう技術、C全く新しい基本技術などがあります。ここで注意すべきは、ビジネスメリットがあるか否かと、技術的に高度か否かとは関係がないということです。技術的にはとても簡単であっても、ビジネスメリットが非常に大きいというケースは沢山在ります。簡単な技術を決して軽視してはいけません。

(2)法規定に照らし特許取得の可能性がある技術
 大雑把に言って、法的な特許取得の要件は「新規性」と「進歩性」を満たすことです。「新規性」とは、従来の技術と構造や動作や機能が全く同じではなく、何らかの相違点があることです。「進歩性」とは、その構造や動作や機能における従来との相違点が通常の技術者なら容易に考え付く程度のこと(例えば、他の技術分野で既に使われている技術を単に転用したに過ぎないなど)ではなく、実質的に「工夫」と言える程度のものであることです。しかし、この「新規性」と「進歩性」の判断はとても専門的で微妙です。また、「進歩性」については、通常の技術者が常識で「進歩性」無しと考えているものが、特許庁では「進歩性」有りと判断されるケースも少なくありません。ですから、構造や動作や機能において従来技術から何らかの相違点があって、その相違点により性能や品質やコストなどに何らかの利点が出る技術であれば、一応、特許取得の可能があると考えるのが無難です。
 具体的な技術について特許出願するか否かの判断は、その技術のビジネスジネスメリットと特許取得の可能性の双方の調和で決めるべきです。例えば、ビジネスジネスメリットが大きい技術は、特許取得の可能性が多少低くても特許出願する価値があります。一方、ビジネスジネスメリットが期待できない技術は、特許取得の可能性が高くても、特許出願する価値はありません。
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Q3 特許出願を特許事務所に依頼する際、どのような資料を用意すればよいか。
A3 特許出願は「特許明細書」という書類に新技術の内容を詳細に記述して特許庁に提出することにより行います。特許明細書には、その新技術に関して、
「従来技術はどうだったか」
「従来技術にどのような問題があったのか」
「従来技術と新技術は構造、処理、機能などにおいて何が相違するのか」
「新技術は従来技術より性能面で何が優れているのか」
「新技術を製品化したとき、その製品の構造、動作、機能はどのようなものか(図面を用いて具体的に説明する)」
ということを記載しなくてはなりません。これは法律で決まっている記載事項で、これを明細書にきちっと書かないと、どんな優れた技術も特許を取ることができません。
 ですから、新技術について上述の記載事項を書けるだけの資料を用意して欲しいのです。
 特に重要なことは、新技術を製品化したときのその製品(特許法では「実施形態」といいます)の構造、動作、機能を明確に表した図面をきちっと用意することです。特許事務所にとり、実施形態以外の記載事項は、発明者から簡単な説明を受けるだけで書けることが多いのですが、実施形態の構成、動作、機能は、発明者からしっかりとした説明と図面を頂かないと、法規定を満たすように書くことが難しいからです。しかも、実際形態の説明の良し悪しが、最終的に良い特許が取れるか否かを左右することになるからです。
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Q4 コンピュータソフトウェアに特許が取れるのか。
A4 勿論、取れます。かつて、ソフトは特許の対象ではないという考えが支配的で、特許庁の実務もそうであった時代がありました。しかし、現在は全く違います。コンピュータソフトウェアは堂々と特許を取ることができます。最近では、コンピュータソフトウェアの方が他の技術分野より特許出願件数がずっと多いのです。ソフトウェア特許全盛時代です。この事情は日本だけでなく、米国やヨーロッパなどでも同様です。
 さらに、数年前までは、ソフトの情報処理の種類(例えば、画像処理のような技術的対象を処理するのか、経理処理のように単なる人間の取り決めを処理するのか)によって、特許の対象になったりならなかったりしたのですが、最近では、あらゆる種類のソフトが特許の対象となると考えて良い状況になりました。但し、ソフトの種類によって、特許明細書のの書き方を多少変える必要がありますが、これはとても専門的な話なので、ここでは説明いたしません。
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Q5 特許出願する価値のあるソフトウェアとはどのようなものか。
A5 A4で述べたように、ソフトもハードと同様に特許を取ることができるようになりました。ですから、特許出願する価値のあるソフト技術とは、ハード技術と同様にA2で述べた条件、つまり(1)ビジネスメリットがある(2)従来技術は違う良い点があって「新規性」「進歩性」を一応満たす、というソフトです。
 その中でも、製品のマンマシンインタフェース、性能、機能、操作方法、動作、出力など、製品を使って見れば簡単に分かる特徴に違いが出てくるようなソフトは、特に出願価値が高いといえます。そのようなソフトは、売上増加が期待できますし、その技術が製品に搭載されているかも簡単に分かるので、ビジネスメリットが特に高いからです。
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Q6 ソフトウェアの特許出願特有の注意点は何か。
A6 ソフトウェアは、それを製品で実施する方法のバリエーションが、ハードウェアよりも沢山あります。例えば、そのソフトウェアが持つ機能を、1台のコンピュータが全て行うのか、複数台のコンピュータが分散して行うのか、一つのプログラムモジュールが全て行うのか、複数のプログラムモジュールが分散して行うのか、エージェントのような仲介ソフトを利用するのか、などのバリエーションがあります。また、そのソフトウェアを販売するのに、CD−ROMのようなハードな媒体を使うのか、通信ネットワーク信号のようなソフトな媒体を使うのかなどのバリエーションもあります。また、そのソフトの機能の一部又は全部が専用ハードウェアで置き換えられる可能性があるかという問題もあります。
 ソフトの特許出願をする場合、上記のバリーションの出来るだけ多くを権利範囲に収められるように特許明細書を書く工夫が必要です。そのためには、特許明細書の中の「特許請求の範囲」と呼ばれる特許権の範囲を記載する欄の書き方に、ソフトウェア特有のテクニックが必要です。ここでは具体的なテクニックは述べませんが、簡単にいえば、一つのソフトウェア技術を、上記のバリエーションを考慮した幾つもの異なった側面から眺めて、異なった表現を用いて特許請求の範囲に記載するテクニックが必要になります。
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Q7 ソフトウェアの特許出願特許事務所に依頼する際、どのような資料を用意すればよいか。
A7 基本的にはA3で述べたような資料を用意すればよいのですが、特に重要な実施形態の図面については、例えば次のようなものを用意すると良いです。

(1)システムの全体に特徴がある場合
 全体構成を示すハードブロック図又は機能ブロック図。システム全体の処理流れが分かるフローチャート。必要に応じて、メモリマップ、データ構造図、タイムテーブル、画面イメージ、プリントアウトイメージ、波形図などの補助的図面。

(2)システム内の特定部分(例えば、入出力、内部処理、インタフェースなど)に特徴がある場合
 上記図面に加えて、特徴部分と全体や周辺との関連がわかるハードブロック図又は機能ブロック図。特徴部分の内部構成を示すハードブロック図又は機能ブロック図。特徴部分の処理流れが分かるフローチャート。必要に応じて、特徴部分に関連するメモリマップ、データ構造図、タイムテーブル、画面イメージ、プリントアウトイメージ、波形図などの補助的図面。
 要するに、その新しいソフトの従来ソフトとは違う部分の構成、動作、機能が明確に理解でき、そして、そのソフトが確かに実現可能であって意図した動作を実行して意図した良さを発揮するものであることが十分に理解できる図面を用意すればよいのです。
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