日本で取得した特許等の産業財産権は、日本国内でのみ有効であり、外国には効力が及びません。
他方、海外市場へ進出、海外で生産、海外企業との競争や協力のために、海外で産業財産権を取得する 必要性が増加しています。日本の権利よりも、海外の権利の方を重視すべきケースも増えてます。
外国で産業財産権を取得したいならば、その外国にその国の法律に則って出願をする必要があります。
世界の国々は、法制度や言語の異なる外国への出願に伴う出願人の苦労や負担を軽減するために、 いくつかの条約を結んでいます。それらの条約に基づき、現在広く利用されている外国出願の方法として、 パリルート、PCTルート及びマドプロルートと呼ばれている方法があります。
1. パリルート(適用対象:特許、実用新案、意匠、商標) これは、工業所有権の保護に関するパリ条約に基づく方法で、世界中の非常に多くの国(170ヵ国以上) への出願で利用可能です。 その手順の概要は、次の通りです。 ①第1国(例えば日本)の特許庁に、通常に特許、実用新案、意匠又は商標の出願を提出します。 ②第1国出願日(優先日)から12ヶ月以内(特許、実用新案)又は6ヶ月以内(意匠、商標)に、第1国出願に 基づく優先権を主張して、第2国(例えば、1又は複数の外国)の特許庁に、その国の言語に翻訳された、 原則同じ内容の出願をします。 ③すると、第2国の特許庁は、その出願を、優先日と同日にその国に出願されたものとみなして その国の法律に則って取り扱います。
2.PCTルート(適用対象:特許、実用新案)(参考:特許協力条約) これは、特許協力条約(PCT)に基づく方法で、世界中の相当多くの国(130ヵ国以上)への特許、 実用新案登録出願で利用可能です。(ただし、実用新案制度を持たない国では、特許出願のみです) パリルートに比較したメリットとして、各国出願手続きに入る前に30ヶ月の時間的余裕がある、特許庁による 予備的な審査結果が得られる、複数国へ出願する場合の手間と費用が削減できる、などの点があります。 その手順の概要は、次の通りです。 ①所定の国(例えば、日本)の特許庁に、所定言語(例えば、日本語又は英語)で、国際特許出願(PCT出願) を提出します。このとき、過去1年以内に行った第1国特許出願(例えば、日本特許出願)に基づく優先権を 主張することもできます(上記パリルート参照)。 ②すると、所定国の特許庁(例えば、日本特許庁又は欧州特許庁)が先行技術調査と特許性の簡易判断を行ない、その結果(国際調査報告)を出願人に報告してくれます。 ③その後、PCT出願の出願日(国際出願日)又は優先日から30ヶ月以内(国によっては20ケ月、31ヶ月 以内)に、別の国(指定国)(例えば、1又は複数の外国)に、その国の言語に翻訳されたPCT出願を提出 します。 ④すると、指定国の特許庁は、そのPCT出願を、国際出願日又は優先日にその国に出願されたもの とみなして、その国の法律に則って審査します。
3.マドプロルート(適用対象:商標) これは、商標の国際登録に関するマドリッド協定についての議定書(マドリッドプロトコル)に基づく方法で、 世界中の多くの国(70ヵ国以上)への商標登録出願で利用可能です。 パリルートに比較したメリットとして、複数国へ出願する場合の手間と費用が削減できる点があります。 その手順の概要は、次の通りです。 ①第1国(例えば、日本)の特許庁に、通常に商標登録出願を提出します。 ②その後、第1国出願(登録になった場合はその商標登録)を基礎として、第1国の特許庁に、原則同内容の 英語、フランス語又はスペイン語の商標国際出願を提出します。このとき、権利の欲しい1以上の他国を指定 します。 ③すると、その商標がジュネーブの国際事務局に国際登録され、その旨が指定国へ通報されます。 ④すると、国際登録日から12ヵ月又は18ヵ月以内に各指定国から拒絶理由通知が来ない限り、 その商標は、各指定国で国際登録日に登録されたものとして取り扱われます。 ⑤ただし、国際登録日から5年以内に第1国出願(又はその商標登録)が消滅等した場合は、その国際登録も 抹消され、各指定国での商標権も効力を失います(セントラルアタック)。
以下に、特許出願だけに焦点を絞って、日本企業が頻繁に行う幾つかの外国への特許出願と、 頻繁に利用するPCT(特許協力条約)とEPC(欧州特許条約)に基づく出願について説明します。 内容はこちらをクリック↓
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